手術を受けるための心がまえ
はじめに、なぜ二重まぶたにしたいかを十分に考える必要があります。人からよく言われたいからか、それとも自分のためですか。私のクリニックで手術を受け
られた方の中で、本人はその結果に満足されたのに、しばらくして元に戻してほしいと受診される場合が時にあります。理由を聞くと友人に「なぜ手術を受けた
のか、前の一重まぶたの方が良かった」と否定的なことを言われ、そのことが悩みとなり元に戻したくなったそうです。当然、手術前にそのことについても十分
に説明しているのですが、実際に言われると悩んでしまったと言うことです。まず、自分のために手術を受けるのであって、決して周囲の友達のために受けるの
ではないことを十分に認識してください。
手術を受けられた方に対して否定的な意見を述べられる方の特徴としては、一重の方で、実はご本人も二重まぶたの手術を受けたいと思われている方が多いよう
です。これは手術は怖い、手術料が高い、また自分より人がきれいになることに対するうらやましさなどからきているようです。私は、手術を受けられる患者さ
んには、「大きなお世話よ、私は自分のために受けるのだから」といった強い気持ちをもたれるようにと言っています。毎日、鏡を見るのが楽しくなったと言っ
ていただきたいと思います。
オリジナル法とは? クイック法とは?
雑誌の広告でオリジナル法とかクイック法と言う言葉が目に付きます。これはどのような方法でしょうか。現在行なわれています二重まぶたの手術方法は数人の
有名な美容外科医の先生が考えだされた方法をそのまま行なっているか、多少変更して行なわれている場合がほとんどです。それらの手術方法はいくつかの医学
書や医学雑誌に詳しく記載されていて、それを参考にして行われています。私自身もこれらを参考にして手術を行なってきましたが、患者様によってはそのまま
利用できない場合が多くあり、少しずつ工夫をしながら現在に至っています。オリジナルと言えば言えないこともありませんが、有名な先生方の長年の研究と経
験を考えますと、恥ずかしくて言えません。これは私だけでしょうか。また、クイック法という言葉もよく目にします。当然早いと言う意味ですが、早い=手術
が上手という意味にも捉えられます。患者様としては早く手術を終わってもらいたという気持は分かりますが、それが手術結果に比例するでしょうか。私の場合
は、手術室に入ってからしばらくは二重まぶたのデザインに時間をかけます。手術の結果はこのデザインで決まってしまいます。それから手術が終わってからも
患者様と一緒に確認して、場合によってはやり直しをする場合もあります。私はこれらの手順を丁寧に納得いくまで行います。
オリジナル法やクイック法はとても魅力的な言葉ですが、手術は結果が全てであることは忘れないでください。
診察の内容
手術で最も重要なことの一つは、診察です。患者様と私が信頼関係を築き上げるスタートです。具体的な流れをお話します。
まずどのような形の二重まぶたを希望されているか、どれほどの変化を望まれているかお聞きします。また、どれぐらいの期間仕事を休めるか、人に会わないで
おられるかも大切です。この時、ご自分の意見をはっきりと伝えていただきます。これが手術の結果を一番左右します。また、アイプチやアイテープを使用して
いる方は、伝えてください。特に長年使用している方の中には、アイプチなどによる皮膚炎が起きていて、手術に支障が生じる場合があるからです。手術を受け
られる時は、2~3日前からは使用しないでください。
ご希望の二重まぶたを鏡で見ていただきながら専用の器具を用いてシュミレーションしていきます。この時、ご納得頂いたらそのラインで手術を計画します。
手術は診察当日には行いません。クリニックによっては当日すぐに行う所もありますが、1回の診察では十分に自分の希望を伝えられない方や、私の説明にも納
得できない事があるからです。手術ですので、いくら考えても考えすぎる事はありません。少しでも疑問やわからない事があれば、当日手術を勧められても断
り、しばらく考えてみることが必要です。
手術方法
一重まぶたを二重まぶたにする手術は重瞼術(じゅうけんじゅつ)といわれます。手術方法は埋没法と切開法とに大別されます。
埋没法はもっとも多く行なわれている方法です。医療用の糸でまぶたの皮膚と瞼板といわれる硬い組織を留めて、目を開いたときヒダができることで二重まぶた
を作る方法です。この方法は糸で留めるという単純なものなので、切開法のようにまぶたにダメージを与えることなく、手術後の修正も比較的容易に出来ます。
しかし糸で留めるだけですので、糸が緩むことがあり、朝起きたら二重の幅が浅くなっている場合があります。広告ではクイック法と言われ、5~6分で行なう
ことを売りにしていますが、手術は早ければ良いと言うものではありません。手術時間は問題にしないでください。
切開法は腫れぼったいまぶたをすっきりさせたい場合や、埋没法では元に戻りやすい人に行われ、その状態に小切開法と全切開法とに分けられます。
小切開法は、予定した二重の線の上に5mmほどの切開を加え、まぶたの皮膚と瞼板組織を直接糸で結ぶ方法です。この時、皮膚や脂肪の除去は行いません。埋
没法に比べ緩みにくいのですが、術後の腫れは強く、まぶたにダメージを与えます。また、切開した皮膚は縫合しますので、5−6日目に糸を取るために受診が
必要です。
全切開法は皮膚のたるみが強い年配の方に行っています。たるんだ皮膚を切除し、余分な脂肪を除去した後に、まぶたの皮膚と瞼板組織を糸で結んで二重まぶた
を作る方法です。最も固定性が高いのですが、手術後の腫れは特に強く、傷あとも残りますので、最近は第一選択としてこの方法を行なう医師は少なくなってき
ています。
私の方法
私は、まず埋没法を薦めています。切開法は皮膚に傷跡が残りますし、一度できたラインを元通りにすることが出来ないからです。初めて二重まぶた手術を受け
られた方の中には、幅の変更を希望したり、元に戻したい方もおられるからです。そして何度も糸がはずれる場合に小切開法を考えています。全切開術は皮膚の
たるみが強い方のみに行なっています。
(尚、切開法と埋没法の手術料は異なりますが、料金の差額を頂くことで、最終的に費用負担が余計にならないようにしています。)
手術手順
始めに、麻酔を行ないます。目薬タイプの表面麻酔を行なってしばらくしてから、まぶたの裏側の結膜と表側の皮膚に局所麻酔を行います。これで手術中の痛み
はありません。ただ、局所麻酔は針を刺さなければなりませんので、全く痛くないわけではありません。少しは痛いと思って下さい。広告ではよく無痛手術の言
葉が見られますが、これは、手術中は全く痛くないということだと思ってください。
手術は2点固定を基本としています。手術前にデザインした二重予定線の上に2箇所にメスを用いて2mmほどの切開を行い、糸を通す穴を作ります。よく「全
く切らないで」とありますが、これはメスの代わりに針で穴を開けて行なうので切るわけではありませんが、結果的には2mmほどの切開と同じこととなりま
す。次に、この部分にまぶたの裏側から専用の糸を通し、まぶたの表でその糸を結び、二重を作ります。1箇所固定する方法もありますが、2箇所固定すること
が、二重のラインははっきりとします。
手術後のアフターケアー
手術後の腫れが気になる方はサングラスをお持ち下さい。また、まぶたの裏側がごろごろしますが、2~3時間程でおさまります。洗顔は当日より、化粧は翌日
より可能です。1週間後に一度診察に来ていただきますが、腫れの状態や幅の確認のためばかりでなく、周囲の人からの発言で悩んでいないかもお聞きしています。
術後の問題点
二重まぶたの手術はいくら簡単、クイックと言われても、手術には変わりはありませんので、問題もいくつかあります。これらの全てが起こるわけではありませんが、知っているかいないかで、対応の方法が違ってきます。
腫れ
まぶたは泣いただけでも腫れる箇所ですので、手術を受ければ当然腫れます。また、麻酔薬を注射したり針で糸を通すことで、皮下の血管を損傷して内出血を起
こす場合もあります。腫れの程度は、翌朝が一番強くなります。これは寝ている間に目のポンプ作用が少なくなり、それが腫れを強くするためです。腫れの程度
は個人差がかなりあり、3~4日で気にしなくなる方や、2週間も悩まれた方もおられます。よく手術翌日から出勤やデートができるという広告もありますが、
目が腫れても仕事はできますし、人には会えるという意味です。腫れが完全に無くなるまでには1か月程かかりますが、気になるのは1週間程ですので、何か御
予定がありましたら、その場合は余裕をもって行動されると良いかと思います。
二重の線の消失
毎日数千回のまばたきや擦ったりする刺激によって糸がはずれ、二重の線が消失することがあります。1か月で起きる方もいらっしゃいますし、一度も起こって
ない方もいらっしゃいます。また、コンタクトレンズを使用している方はその消失率が高いと言われています。残念ながら、手術の性格上避けられません。この
場合、3年以内でしたら無料で再手術を行ないます(ただし、幅を同時に変えられたい場合は、別料金をいただくこともあります)。
二重の幅の変化
手術3か月ほどで、最初のころの幅が狭くなってきます。これは二重の線が皮膚に馴染み緩んだためです。したがって、希望されるよりやや広めの幅をお薦めし
ています。また、年齢とともに皮膚のたるみが伴い、まぶたの幅や形が変化してきますので、いつまでも最初の形を保つことはできません。
二重の幅の左右差
目の形は、多少左右差があります。手術はこの左右差のあるまぶたを基にして行なわれますので、出来上がった二重にもその差があらわれてきます。しかし、生
まれつき二重の方も多少の左右差があり、これが自然さを出していますので、無理やり左右同じにすることはかえって不自然となります。
縫合糸の露出
まれにしか起こりませんが、縫合糸にアレルギー反応を起こしてまぶたの縫合部がしこりのように膨らんできたり、糸が露出してくる場合があります。腫れてる場合は薬や処置でおさまりますが、糸が露出した時は抜糸し、再度埋没方法を行ないます。