ワキガ(腋臭症)
手術方法と術後の合併症
治療を受ける医療機関は
ワキガの手術を考えている方の一番の悩みは医療機関選びだと思います。一番のお薦めは、形成外科専門医のクリニックです。形成外科専門医とは日本形成外科学会が指定した病院で診療・手術の研修を受け、同時に論文・学会発表などの実績を積み、形成外科専門医試験に合格した医師のことを言います。ワキガの治療は手術方法ばかりでなく麻酔や術後のケアも重要となりますので、手術をトータル的に見るトレーニングを受けた形成外科専門医にお任せください。
手術方法について
腋臭症の外科的治療は、最小限の皮膚切開、確実な汗腺組織の切除及び固定期間の短縮であり、これまでに多くの手術法が報告されてきました。
1)切除法
腋毛の生えている部分の皮膚をアポクリン汗腺と一緒に,紡錘形に大きく切り取る方法です.効果は確実ですが、傷あとがかなり目立つため、現在はほとんど行われてはいません。
2)皮下剪除法
腋の皮膚のしわに平行に切開をおき、そこから何らかの器具を用いてアポクリン汗腺を除去する方法です。使用する器具で名称が異なります。
A)反転剪除法
切開部から指を入れて皮膚を裏返し、アポクリン汗腺をはさみで少しずつ切り取っていく方法です.皮弁法とも言われ、もっともポピュラーな方法です。
B)超音波メス法
超音波メスを用いてアポクリン汗腺を破砕・吸引するものです。
C) 削除吸引法
使用する器具により色々な名称が付けられていますが、基本的には同じ効果と考えてください。
3) 吸引法
脂肪吸引器具を用いてアポクリン汗腺を吸引する方法です。
これらの手術方法は、医師の経験と好みを元に選ばれていますが、どの方法も完全な方法ではなく、それぞれ利点と欠点があります。診察時に十分に説明を聞き、少しでも疑問があれば必ず尋ねてください。
私の行っている「クワドラカットシェーバー法」
わきのしわに約1cmの切開を1箇所加え、そこより「クワドラカットシェーバー」という特殊な回転式の刃を装着した細い筒を挿入し、アポクリン汗腺を削除吸引する方法です。先ほどの分類では、皮下剪除法の削除吸引法に入ります。この方法により傷あとがほとんど目立たなく、手術後の痛みも軽減しました。
クリニックによっては「マイクロリムーブ法」や「PMR法」などといっていますが名称が異なるだけで方法は同じです。
この方法を薦める理由
この方法の利点は傷あとが他の方法より小さい事です。また、はさみを用いた反転剪除法より広範囲にアポクリン汗腺の除去ができる事です。また、他の器具を用いても同じ効果が得られる事もありますが、何よりも私がこの方法に熟知していて、手術に伴う合併症を最大限に抑える事ができ、もしも合併症が起こった時でも適切に対応ができるからです。雑誌では完全に全く合併症もなく手術が行われているかのように記載されていますが、神様でない限り、そのような事はありえません。術者の得意とする器具を用いて行われる方法が、最大限の効果が得られると考えています。
使用機器
使用している器具は、アメリカ・ストライカー社「クワドラカットシェーバーシステム」で、関節内視鏡下手術において軟部組織や骨の切除に使用されるために開発された電動装置です。
ワキガの手術ではワキガ用のシェーバーを用い、ハンドピースに強力な吸引器を接続し、陰圧下に組織の吸引・切除・排出を同時に行います。
実際の治療手順
実際の治療手順を知っておくと、心配は少ないと思います。
1)剃毛
ワキの毛は手術前日にご自分で剃られてください。
2)局所麻酔
治療を受けられる方で一番心配なことは手術の痛みだと思います。麻酔注射の範囲はワキの毛よりやや広めに行います。手術中はこの麻酔の効果でまったく痛くありませんが、針を刺して麻酔薬を注入する時にはチクッとした痛みはあります。よく無痛手術とがありますが、手術中は痛くないという意味だと思ってください。
3)手術手順
ワキのシワに平行に皮膚に8mmほどの切開を加えます。次に、はさみで皮下剥離(皮膚とその下の組織を剥がすことです)を行います。その後クワドラカットシェーバーを用いて、アポクリン汗腺を削除吸引します。削除吸引後は血を出すためのドレーという管を挿入して、切開部を細い糸で縫合します。
4)術後処置
創部に軟膏を塗布した後、タイオーバー法という特殊な固定法で、削除した皮膚全体とその下の脂肪組織とを圧迫・固定します。これは通常の固定法では、腕を動かすことでガーゼが動いてしまい、出血の原因となったり、手術部分の皮膚との下の脂肪組織の生着が悪くなったりするからです。このタイオーバー法は3日間行いますが、この間ワキに不快感はありますが、日常生活にはほとんど支障はありません。
手術時間は麻酔から処置まで約1時間30分ほどです。
5) アフターケア
a)当日のシャワーは控えていただきます。翌日より患部を濡らさないようにされればシャワーは問題ありません。
b)翌日に消毒に受診されてください。この時傷の状態を出血がないか確認します
c)術後3日目にワキの部分の固定を取り除きます。この日よりシャワー中に傷がぬれても構いません。軟膏とガーゼをお渡ししますので、シャワー後に患部に軟膏を塗り、ガーゼで覆ってください。
d)1週間目に抜糸を行います。この日より浴槽への入浴が可能となります。
e)抜糸より1週間後および3週間後に検診を予定しています。
手術の最終結果は術後6か月後としています。臭いの軽減の程度や傷あとの状態をご自分でご確認下さい。
雑誌等でよく、「手術後の通院の必要はありません」を特徴としているクリニックが見られますが、本当でしょうか。手術後に何が起こるか判りません。患者さんも心配でしょうし、手術をした私も心配でなりません。翌日の診察で問題がなった事を確認して初めてほっとします。普通、怪我をして縫合などを受けた場合は、必ずその病院やクリニックに消毒に行きませんか?それが美容外科の手術だけがその必要が無いというのはおかしなことです。手術はゴールではありません。スタートです。お忘れなく。
合併症
合併症のない手術はありません。外科手術は合併症との闘いです。そのために合併症が起きにくい手術方法や術後処置を工夫していますが、一番重要なのが、早く発見することです。そのために、具体的な合併症を知っていただきたいと思います。
1)血腫
翌日に受診してもらう一番の目的が、この血腫の有無の確認です。一般的に手術を行えばある程度の出血は認められますが、少量の場合や多少多くても管を通じて外に排出されれば問題はありません。しかし、ガーゼを超えて上腕に広く皮下出血斑が見られた場合や痛みが強くなればかなりの血が溜まったことになり、緊急の処置が必要となります。血腫ができると皮膚の細菌感染や壊死(皮膚が死んでしまう)などができ、汚い傷あとを残す事になります。予防は過剰に腕を動かさないようにして、創部の安静を保つ事です。異常を感じたら、すぐにクリニックに連絡してください。
2)傷あと
皮膚を切った所には必ず傷あとが残ります.この傷あとの治り方には個人差があり,事前に予測することは不可能ですが,一般的には白い傷あととなって、ほとんど気にならなくなります。しかし時に、固くて盛り上がった肥厚性瘢痕と言われる傷あととなる場合があります。肥厚性瘢痕は通常2年ほどで平らな傷あととなりますが、良くならない場合は、修正術を行う場合もあります。
3)皮膚の拘縮(引きつれ)・硬化
手術後しばらくすると、ワキのつっぱり感が生じてきます。これは瘢痕拘縮と言われ、手術を受けたワキのしわが一時的に縮まって固くなる現象です。程度の差はありますが、全員に起こりますし、またどのような手術方法でも生じます。3か月ほどで回復しますが、マッサージや上肢の挙上運動で早く改善します。
4)皮膚のびらん・壊死
手術は皮膚の内側から行いますが、その衝撃が表側まで伝わり、手術中心部の皮膚にびらんや壊死が起こる場合があります。びらんは軟膏療法で、きれいになりますが、壊死は多少傷あととして残る場合があります。
5)ワキの毛の減少
ワキの毛の60%ほどが永久脱毛となります。まばらになりますが、完全な脱毛にはなりませんので、男性の方もそれほど気にはなされません。それより残った毛が気になる女性が多いため、術後4か月後から医療レーザー脱毛をお薦めしています。
6)再発
これが一番の問題です。100%戻ることはありませんが、ある程度は再発します。このような説明をすると、雑誌に掲載してあるクリニックの広告には、「1回の手術で、再発の心配もない」「数年経っても再発しない」「1回で完治」など再発など全く無いかのように書かれているので、そちらのクリニックの手術が上手だと思われる方もいらっしゃいます。しかし、どのような治療法でも、程度の差はありますが必ず再発してきます。それは何故でしょうか?本来、臭いは異性をひきつけ子孫を作るために必要なものなのですが、その働きを考えると減少しては困る訳です。そこで体としてはその機能を回復させるために、再発させる訳です。例えば、ワキの毛を剃ればすぐに生えてくる様に。雑誌等の広告には惑わされず、臭いが減少して気にならなくなる事が、手術の目的だと思われてください。しかし、再発した臭いを受け入れる事ができない場合は、手術1年後に再手術が受けられますので、ご相談ください。
ワキガの手術を考えている方の一番の悩みは医療機関選びだと思います。一番のお薦めは、形成外科専門医のクリニックです。形成外科専門医とは日本形成外科学会が指定した病院で診療・手術の研修を受け、同時に論文・学会発表などの実績を積み、形成外科専門医試験に合格した医師のことを言います。ワキガの治療は手術方法ばかりでなく麻酔や術後のケアも重要となりますので、手術をトータル的に見るトレーニングを受けた形成外科専門医にお任せください。
手術方法について
腋臭症の外科的治療は、最小限の皮膚切開、確実な汗腺組織の切除及び固定期間の短縮であり、これまでに多くの手術法が報告されてきました。
1)切除法
腋毛の生えている部分の皮膚をアポクリン汗腺と一緒に,紡錘形に大きく切り取る方法です.効果は確実ですが、傷あとがかなり目立つため、現在はほとんど行われてはいません。
2)皮下剪除法
腋の皮膚のしわに平行に切開をおき、そこから何らかの器具を用いてアポクリン汗腺を除去する方法です。使用する器具で名称が異なります。
A)反転剪除法
切開部から指を入れて皮膚を裏返し、アポクリン汗腺をはさみで少しずつ切り取っていく方法です.皮弁法とも言われ、もっともポピュラーな方法です。
B)超音波メス法
超音波メスを用いてアポクリン汗腺を破砕・吸引するものです。
C) 削除吸引法
使用する器具により色々な名称が付けられていますが、基本的には同じ効果と考えてください。
3) 吸引法
脂肪吸引器具を用いてアポクリン汗腺を吸引する方法です。
これらの手術方法は、医師の経験と好みを元に選ばれていますが、どの方法も完全な方法ではなく、それぞれ利点と欠点があります。診察時に十分に説明を聞き、少しでも疑問があれば必ず尋ねてください。
私の行っている「クワドラカットシェーバー法」
わきのしわに約1cmの切開を1箇所加え、そこより「クワドラカットシェーバー」という特殊な回転式の刃を装着した細い筒を挿入し、アポクリン汗腺を削除吸引する方法です。先ほどの分類では、皮下剪除法の削除吸引法に入ります。この方法により傷あとがほとんど目立たなく、手術後の痛みも軽減しました。
クリニックによっては「マイクロリムーブ法」や「PMR法」などといっていますが名称が異なるだけで方法は同じです。
この方法を薦める理由
この方法の利点は傷あとが他の方法より小さい事です。また、はさみを用いた反転剪除法より広範囲にアポクリン汗腺の除去ができる事です。また、他の器具を用いても同じ効果が得られる事もありますが、何よりも私がこの方法に熟知していて、手術に伴う合併症を最大限に抑える事ができ、もしも合併症が起こった時でも適切に対応ができるからです。雑誌では完全に全く合併症もなく手術が行われているかのように記載されていますが、神様でない限り、そのような事はありえません。術者の得意とする器具を用いて行われる方法が、最大限の効果が得られると考えています。
使用機器
使用している器具は、アメリカ・ストライカー社「クワドラカットシェーバーシステム」で、関節内視鏡下手術において軟部組織や骨の切除に使用されるために開発された電動装置です。
ワキガの手術ではワキガ用のシェーバーを用い、ハンドピースに強力な吸引器を接続し、陰圧下に組織の吸引・切除・排出を同時に行います。
実際の治療手順
実際の治療手順を知っておくと、心配は少ないと思います。
1)剃毛
ワキの毛は手術前日にご自分で剃られてください。
2)局所麻酔
治療を受けられる方で一番心配なことは手術の痛みだと思います。麻酔注射の範囲はワキの毛よりやや広めに行います。手術中はこの麻酔の効果でまったく痛くありませんが、針を刺して麻酔薬を注入する時にはチクッとした痛みはあります。よく無痛手術とがありますが、手術中は痛くないという意味だと思ってください。
3)手術手順
ワキのシワに平行に皮膚に8mmほどの切開を加えます。次に、はさみで皮下剥離(皮膚とその下の組織を剥がすことです)を行います。その後クワドラカットシェーバーを用いて、アポクリン汗腺を削除吸引します。削除吸引後は血を出すためのドレーという管を挿入して、切開部を細い糸で縫合します。
4)術後処置
創部に軟膏を塗布した後、タイオーバー法という特殊な固定法で、削除した皮膚全体とその下の脂肪組織とを圧迫・固定します。これは通常の固定法では、腕を動かすことでガーゼが動いてしまい、出血の原因となったり、手術部分の皮膚との下の脂肪組織の生着が悪くなったりするからです。このタイオーバー法は3日間行いますが、この間ワキに不快感はありますが、日常生活にはほとんど支障はありません。
手術時間は麻酔から処置まで約1時間30分ほどです。
5) アフターケア
a)当日のシャワーは控えていただきます。翌日より患部を濡らさないようにされればシャワーは問題ありません。
b)翌日に消毒に受診されてください。この時傷の状態を出血がないか確認します
c)術後3日目にワキの部分の固定を取り除きます。この日よりシャワー中に傷がぬれても構いません。軟膏とガーゼをお渡ししますので、シャワー後に患部に軟膏を塗り、ガーゼで覆ってください。
d)1週間目に抜糸を行います。この日より浴槽への入浴が可能となります。
e)抜糸より1週間後および3週間後に検診を予定しています。
手術の最終結果は術後6か月後としています。臭いの軽減の程度や傷あとの状態をご自分でご確認下さい。
雑誌等でよく、「手術後の通院の必要はありません」を特徴としているクリニックが見られますが、本当でしょうか。手術後に何が起こるか判りません。患者さんも心配でしょうし、手術をした私も心配でなりません。翌日の診察で問題がなった事を確認して初めてほっとします。普通、怪我をして縫合などを受けた場合は、必ずその病院やクリニックに消毒に行きませんか?それが美容外科の手術だけがその必要が無いというのはおかしなことです。手術はゴールではありません。スタートです。お忘れなく。
合併症
合併症のない手術はありません。外科手術は合併症との闘いです。そのために合併症が起きにくい手術方法や術後処置を工夫していますが、一番重要なのが、早く発見することです。そのために、具体的な合併症を知っていただきたいと思います。
1)血腫
翌日に受診してもらう一番の目的が、この血腫の有無の確認です。一般的に手術を行えばある程度の出血は認められますが、少量の場合や多少多くても管を通じて外に排出されれば問題はありません。しかし、ガーゼを超えて上腕に広く皮下出血斑が見られた場合や痛みが強くなればかなりの血が溜まったことになり、緊急の処置が必要となります。血腫ができると皮膚の細菌感染や壊死(皮膚が死んでしまう)などができ、汚い傷あとを残す事になります。予防は過剰に腕を動かさないようにして、創部の安静を保つ事です。異常を感じたら、すぐにクリニックに連絡してください。
2)傷あと
皮膚を切った所には必ず傷あとが残ります.この傷あとの治り方には個人差があり,事前に予測することは不可能ですが,一般的には白い傷あととなって、ほとんど気にならなくなります。しかし時に、固くて盛り上がった肥厚性瘢痕と言われる傷あととなる場合があります。肥厚性瘢痕は通常2年ほどで平らな傷あととなりますが、良くならない場合は、修正術を行う場合もあります。
3)皮膚の拘縮(引きつれ)・硬化
手術後しばらくすると、ワキのつっぱり感が生じてきます。これは瘢痕拘縮と言われ、手術を受けたワキのしわが一時的に縮まって固くなる現象です。程度の差はありますが、全員に起こりますし、またどのような手術方法でも生じます。3か月ほどで回復しますが、マッサージや上肢の挙上運動で早く改善します。
4)皮膚のびらん・壊死
手術は皮膚の内側から行いますが、その衝撃が表側まで伝わり、手術中心部の皮膚にびらんや壊死が起こる場合があります。びらんは軟膏療法で、きれいになりますが、壊死は多少傷あととして残る場合があります。
5)ワキの毛の減少
ワキの毛の60%ほどが永久脱毛となります。まばらになりますが、完全な脱毛にはなりませんので、男性の方もそれほど気にはなされません。それより残った毛が気になる女性が多いため、術後4か月後から医療レーザー脱毛をお薦めしています。
6)再発
これが一番の問題です。100%戻ることはありませんが、ある程度は再発します。このような説明をすると、雑誌に掲載してあるクリニックの広告には、「1回の手術で、再発の心配もない」「数年経っても再発しない」「1回で完治」など再発など全く無いかのように書かれているので、そちらのクリニックの手術が上手だと思われる方もいらっしゃいます。しかし、どのような治療法でも、程度の差はありますが必ず再発してきます。それは何故でしょうか?本来、臭いは異性をひきつけ子孫を作るために必要なものなのですが、その働きを考えると減少しては困る訳です。そこで体としてはその機能を回復させるために、再発させる訳です。例えば、ワキの毛を剃ればすぐに生えてくる様に。雑誌等の広告には惑わされず、臭いが減少して気にならなくなる事が、手術の目的だと思われてください。しかし、再発した臭いを受け入れる事ができない場合は、手術1年後に再手術が受けられますので、ご相談ください。



